今回は国際多肉植物協会の会長である小林浩さんへのインタビュー記事第1弾です。
国際多肉植物協会(I.S.I.J)の小林浩会長にインタビューをしてきました。インタビューの内容は小林浩会長の多肉植物に対する想いと国際多肉植物協会の発足から未来についてです。
今回は小林浩会長の多肉植物に対する想いを記事にしました。
小林浩会長について
小林浩会長は1937年の東京都出身です。五反田TOCで開催されるビッグバザールに参加されたことがある方は、小林浩会長を一度は見かけたことはあるのではないでしょうか。その小林浩会長がどのくらい多肉植物を愛しているのかを聞いてみました。
多肉植物との出会い
小林浩会長が幼稚園生の頃に多肉植物に出会いました。時代は戦前です。ここから2019年の現在に至るまで多肉植物好きが続いています。
- いつ:幼稚園生の頃
- どこで:親戚の家
- どんな品種:花盛丸(カセイマル)、柱サボテンの白雲閣(ハクウンカク)
ここでサボテンに出会っていなければ、今の小林会長はないといっても過言ではありません。 花盛丸(カセイマル)と柱サボテンの白雲閣(ハクウンカク)に感謝をしたいと思います。
多肉植物との関わり(子ども時代)
幼稚園生の頃にサボテンに魅せられたことに始まり、小・中学生の間は学校の通り道にあった園芸店に通いました。
1950年頃のサボテンの価格は1鉢50円、80円でした。1鉢50円と言うと今より安く感じませんか。それでも今と当時の物価には差があります。当時の物価で50円というと、ラーメン2杯分になる価格でした。
サボテンが1鉢50円となると、小中学生が簡単に購入できる価格ではなかったようです。
そこで、小林浩会長は鉢なしにして10円を値引いてもらっていたようです。
多肉植物の入手先(子ども時代)
学校の通学路にあった園芸店のほかにもサボテンを販売している場所がありました。今ではあまり見かけない場所です。どこだと思いますか。
それは、デパートです。新宿や銀座の三越、渋谷の東急でサボテンの販売がありました。現在、デパートで多肉植物が販売されているところと言えば、池袋西武にある鶴仙園(かくせんえん)くらいしか思い浮かびません。
デパートで販売されていた種類は
- ハオルチア属の竜鱗(リュウリン)
- ハオルチア属の十二の巻(ジュウニノマキ)
- サボテンの河内丸(カワチマル)
- リトープス属
- フォーカリア属の四海波(シカイナミ)
- センペルビブム属の巻絹(マキギヌ)
だったそうです。
販売されていた品種はどれも高価で
- 十二の巻(ジュウニノマキ):50円
- 河内丸(カワチマル):80円
- リトープス3本:120円
だったそうです。
この時販売されていた苗にはすべてきちんと名札がついていました。みなさんは名札と聞くとプラスチック製の白い札を思い出しませんか。昔は違っていました。なんと当時のラベルは木製だったそうです。木製のラベルに墨汁で品種が書かれていました。とても温かみのある名札ですよね。その名札を今でも小林浩会長はお持ちだとおっしゃっていましたので、今度見せていただくことにしました。見せていただいた時には記事にします。
多肉植物の育て方(子ども時代)
今でこそわからないことはインターネットで調べられます。1950-1970年代にはインターネットがありません。そんな時代に育て方のわからない多肉植物を入手したらどうしたらよいのでしょうか。
それは先人の知恵に頼ると己の挑戦だったようです。
デパートに入っていた園芸店では、藁を敷いて寒さ対策をしていました。それを見て、サボテンには寒さ対策が必要だと分かれば、自分で木製フレームを作り、ビニールを張って簡易的な温室を作りました。
それでも、昔の日本は都内でも冬は濡れたタオルが凍るくらい寒かったので、あまり加温されなかったです。そのため株が枯れてしまうこともありました。
多肉植物の入手先(大人時代)
子ども時代にほしい苗は大人におねだりするか、お小遣いを貯めて買うしかありませんでした。
それが大人になれば、自分でお金の運用管理ができますので、多肉植物へ使えるお金も多くなります。
そうなると多肉植物を入手する先も大きく違ってきます。小林浩会長が30代から40代半ばまでおこなった多肉植物の入手方法はとてもグローバルでした。
海外の採集者と契約をして海外から直送をしてもらいました。直送の頻度は毎週と高頻度でした。
毎週届く苗はこれまでに見たこともないものであったり、とても貴重なものでした。見たこともない苗の場合には、うまく育てられずに失敗をしてしまいました。
毎週、苗が届く楽しみだけではありません。苗が届く分だけお金もかかります。失敗をすれば、失うものがあります。
それでも、失敗から学ぶことが多かった、失敗をしなければ学べないことばかりだったそうです。
多肉植物の魅力
ここまで小林浩会長が多肉植物に魅力を感じるのは
- 隔世遺伝
- 造形的な美しさ
です。
隔世遺伝とは小林浩会長のおじいさんが山野草を育てていてその姿を見て、植物とともに育っているので、植物が大好きになりました。
造形的な美しさとは、花が咲いていなくても不思議な形をしていたり、質感をしていたりする特徴的な多肉植物に魅力を感じるそうです。
これからやりたいこと
38歳で初めて飛行機に乗った時は家族総出で見送りをするような時代でした。それが今や数時間と数万円で海外へ行ける時代になりました。
海外多肉旅行の計画
御年81歳になりますが、これからやりたいことは多肉植物の原産地を1つでも多く見て回ることです。今年の計画ではすでに4回の海外多肉旅行が決まっています。
海外多肉旅行1つは秋に南アフリカに行くことです。植物園のツアーを国際多肉植物協会の会員向けに企画しているそうです。
ELKのショーへ参加
もう1つの海外多肉旅行は9月のELKのショーに参加することです。ELKのショーは120店舗ほどの出展者が世界各国から集まり、日本からも数店舗出店します。
じつはこの取材の前日にタイから帰国していらってました。とてもパワフルです。
インタビューを終えて(編集後記)
初インタビュー
この度は初のインタビューをしてきました。その初のインタビューが国際多肉植物協会(I.S.I.J)の小林浩会長でした。なので大変緊張をして臨みましたが、小林浩会長はインタビューに入る前から温室の案内や植物の案内をして話しやすい環境を作ってくださいました。
小林浩会長の実際のお人柄
五反田TOCで開催するビッグバザールでお見かけする小林浩会長は物静かな印象でした。インタビューをしてもあまり回答をもらえないかもしれないと不安がありました。しかし、それは杞憂に終わりました。
小林浩会長は多肉植物に関して大変情熱的な方でした。 口調はとても穏やかではありますが、熱い想いが伝わる回答をしてくださいました。
インタビューを快く受けてくださり、1時間以上もお話をしてくださったことに感謝いたします。次回もインタビューをさせていただける約束を取り付けております。次回またお話を聞かせていただけることを楽しみにしております。
多肉植物を愛する1人として
今回のインタビューはとある植物園の温室にて行いました。その温室ではガステリア属やアロエ属の株があり、花が咲いていました。それを見た来園客は「えーー!!花が咲いている、これって花が咲くやつなんだね」っと言っていました。
植物なのだから花が咲くのが当たり前なのです。しかしガステリア属やアロエ属はゴツゴツした姿なので、可憐な花が咲くイメージがわかないのでしょう。
こういう発言の聞くとまだまだ多肉植物に関する知識や情報が広がる余地があると感じます。
そんな余地に”たにある”が入っていき、お役に立つようにこれからも各ジャンルの方々にインタビューをしていきたいと思いました。