多肉植物には一度でも見たら忘れられない姿のものがあります。その姿を好きと思う人もいれば、ちょっと苦手だなと思う人もいます。
この姿が葉っぱなのだろうか?
ぱっと想像する葉の姿とは似ても似つかぬ独特の玉形の姿です。リトープス属についての説明です。
リトープス属の多肉植物
リトープスは多肉植物そのものの名前ではなく、同じような種類の多肉植物をグループにまとめたグループ名です。
リトープス属の生息地
リトープス属の多肉植物は南アフリカに生息しています。南アフリカの環境は砂漠と岩場です。そして、多くの砂利に覆われています。植物には過酷な乾燥地帯なのです。
自然環境に合う姿へ
リトープス属の多肉植物は過酷な環境で生息するため、自らの姿を変化させました。
姿の変化は次の通りです。
- 葉と茎の一体化
- 背丈を低くしてずんぐりむっくりの姿
- 葉の数が少ない
擬態植物とは?
砂漠と岩場の環境では動物にとって植物は大好物です。リトープス属の多肉植物も例外なく動物に食べられました。そこで、動物に食べられず生き抜くために、自らの姿を変化させました。
何に化けたと思いますか?
砂漠と岩場なので石のような姿に変化しました。少し難しい言い方ですと、環境に合わせて変身することを“擬態”といいます。
リトープス属の多肉植物は擬態植物の代表です。自然環境に適合して自らの姿を変化させる力は人々を魅了しますね。
石といえばゴツゴツとした灰色の簡素な姿で人を魅了するのか?と、突っ込みますよね。ところが、次のように呼ばれています。
それは、“生きた宝石“です。
リトープス属の多肉植物は宝石?
“生きた宝石“は素敵な表現です。きらきらと輝き、そして美しい色を思い浮かべます。なんと、リトープス属の多肉植物には宝石と同じようにカラーバリエーションがあります。
- 緑
- 茶
- 赤
- 白
- グレー
リトープス属の多肉植物の葉の表面には天窓があります。そこに光を当てると、きらきら輝き透き通って美しい姿がみえます。宝石のように輝く美しい色が素敵な多肉植物です。
季節ごとのリトープス属の特徴
個性的な姿のリトープス属の多肉植物ですが、生長の仕方と開花も個性的です。
春のリトープス属
春になると、株が割れるように新芽が中から出ます。セミが脱皮するようにリトープス属も脱皮をして新しい芽が姿をあらわします。
毎年、春に脱皮していくことで、株が生長します。ですが、とてもゆっくりです。
秋のリトープス属
株の真ん中が割れて、花芽を伸ばします。花の色は2種類です。
- 黄色
- 白色
宝石の中から花が咲くという生長には、生き物のドラマです。この生長を見ていると心が奪われます。そして、リトープス属の多肉植物の熱狂的なファンを増やしています。
リトープス属の多肉植物の花の姿は菊のようだとも表現されています。
リトープス属の別名は「石塊菊(イシコロギク)」
花の姿が菊に似ているので、別名は「石塊菊(イシコロギク)」です。主にリトープス属が岩場に自生しているものを指しています。その特徴をよくとらえた別名ですね。
リトープス属の育て方
過酷な自然環境に適応できるので枯れにくいです。ですが、乾燥に強いが故に湿度と寒さが苦手です。育て方のコツをまとめます。
- 夏は水やりをしない(しわしわの姿に驚きますが、乾燥に強いので問題なし)
- 脱皮が始まったら水やりをしない
- 風通しをよくする
- 氷点下の気温は厳禁
虫には注意
岩場に自生するとリトープス属の多肉植物は石のように変身します。石のように見えて周囲に溶け込むので、虫が見つけられません。ですので、安心なのです。
ですが、みなさんは鉢に入れて育てますよね。なんと虫がリトープス属の多肉植物を見つけます。見つけるとすぐに、葉や花を食べ始めます。虫にとっては大好物のようです。
- カイガラムシ
- ナメクジ
- 夜盗虫(ヨトウムシ)
増やし方と入手方法
増やし方は二通りです。
- 株分け
- 種まき(実生/みしょう)
株分けは生長した株の根元に子株が出ます。そしたら子株をとります。また、種まきはどうするかというと、花が咲いたら種ができます。その種を採取してまきます。
入手方法
生きた宝石と個性的な姿で人気があります。そして、乾燥に強いため育てる手間がかかりません。そのため、最近は、100円ショップなどでリトープス属の苗を取り扱いしています。お手軽にリトープス属の多肉植物を育てることができると思います。
リトープス属の多肉植物の多くは大きく生長はしません。ですが、色や模様の種類がたくさんあります。リトープス属の品種を混ぜて、1つの鉢に植えてみてください。何ができるでしょうか?
まさにそれは生きた宝石。自分だけの特別な宝石箱ができあがりますね。
似ている属にコノフィツム属がありますので、あわせてどうぞ